自販機のノンフロン化、自販機と温暖化の関係

日本コカ・コーラが「ノンフロン自動販売機」の導入を進めている、というニュースがありました。

私は夏にちょくちょくお世話になる自動販売機、夏は冷えているのが当然、冬はあったか～いが飲めるありがたいこの機械。この自販機の冷媒に使用されているのが「フロン」。フロンを使わない「ノンフロン」の自販機とは、どのようなものなのでしょうか。

今更だけど、フロンって何？

フロン、と聞くと、環境を破壊する悪者のイメージがありますが、そもそもフロンって何者なの？　と今更ながらに調べてみました。

フルオロカーボン（炭素とフッ素の化合物）のことを一般的にフロンと呼んでいるそうです。

フロンは、２０世紀に人類が発明した、自然界には存在しない人工物質。１９２８年、冷蔵庫などの冷媒に使用できる気体として開発され、その利便性から冷蔵庫のみならず様々な用途に使用され、特に１９６０年代以降は先進国を中心に爆発的に消費されました。

しかし、フロンの内、ＣＦＣ（クロロフルオロカーボン）とＨＣＦＣ（ハイドロクロロフルオロカーボン）はオゾン層を破壊する物質で、これらを「特定フロン」と呼んでいます。

ちなみに、「オゾン層」は、地球に降り注ぐ紫外線を吸収する働きを持っています。そのため、オゾン層が破壊されると、地表に届く紫外線の量が増え、人や野生生物に被害が及ぶことになる、ということ。

また、ＨＦＣ（ハイドロフルオロカーボン）は「代替フロン」と呼ばれ、塩素を持たない物質のため、オゾン層を破壊しないで済むんですが、その代わりに二酸化炭素よりもずっと高い温室効果があり、地球温暖化の原因となっているとのこと。

フロンはとても便利だけど、困った特性（オゾン層を破壊したり、温室効果があったり……）があるので、これからは特定フロンでもなく、代替フロンでもなく、「ノンフロン化」を推進しますと環境省が呼びかけ、それに日本コカ・コーラも乗っかっているというわけですね。

世界的にも、「モントリオール議定書」（１９８７年）などで、フロンなどの規制が始まっています。

ノンフロンとは、実際にどういうこと？

ノンフロンとは、文字通り、フロンを使わないということだけど、じゃあ代わりに何を使っているのかと言うと、「自然冷媒」を使用しているとのこと。

「自然冷媒」とは、人工的に作り出したものではなく、自然界に元々ある物質。オゾン層も破壊せず、温室効果もほとんどないという優れもの。

たとえば、アンモニア、炭化水素、二酸化炭素が自然冷媒として使用された冷凍・冷蔵空調システムがすでに作られているようです。問題点もあるようですが（アンモニアだと漏洩時の毒性が問題だったり、炭化水素だと燃焼性が高いため安全性の問題だったり……）、その問題点も着実に改善していっているようです。

また、断熱材に使われる発泡剤にもフロンが多く使用されていますが、これもノンフロン系の発泡剤（二酸化炭素、シクロペンタン）で代替する研究が進められているようです。一部で実用化もしているとか。

今はこうして科学が色々とエコに活用されているんですね。

問題は、やっぱりコスト面？

大体、新しい技術の導入で問題になるのは、コスト面。コストが高いから、一般の人も企業もなかなか新しいものや技術に手が出ないという現状があります。

そこを踏み込んで、「ノンフロン化自動販売機」を導入するという日本コカ・コーラ社。従来の自販機よりも数万円ほどのコストアップになるため、業界や企業だけではなく、国を挙げて取り組む必要があると、日本コカ・コーラの担当の方がコメントを出しています。

国としても当然、脱フロンに向けた取り組みは行っているようです。平成２９年度も６３億円の予算で、冷凍冷蔵倉庫に用いられる省エネ型自然冷媒機器を導入する事業に要する経費の一部を補助する、としています。平成２９年度は４月５日～５月１０日まで公募期間を設けていたようですね。

ただ、この補助金交付の決定事業者の中に、日本コカ・コーラさんの名前はなかったかな。国としても補助金は出しているけれど、まだまだ行き届いていない現状があるのかも。